私は、都内で老人デイサービスを3ヶ所経営しています。
お年寄りの方々と触れ合うことが大好きな私ですが、先日あるおばあちゃんとの会話の中で、大変嬉しいことがありました。
それは、デイサービスの利用者である、おじいちゃんやおばあちゃん達が体操をしている最中に私がひょっこり顔を出した時のことです。
件のおばあちゃんが私の方を見て…
『ああ、来た来た!あんたの「顔」を見るとホッとするね〜。何だか幸せを運んで来てくれるような気がするよ。
あんたの「顔」は人を騙すような「顔」じゃないね。
私はあんたなんかより長いこと生きて来て、それはそれはたくさんの人と会ってるから、私にはわかるんだよ。ははは…』
と、言って下さったのです。
すると周りのおじいちゃんやおばあちゃん達も一斉に大きく頷いて下さり、私は巨体を極限まで小さくして、ただただ恐縮する以外ありませんでした。
そんなこと言われてうれしくない訳がありません。
何せ私は中高生の頃のあだ名が「モンスター」ですから…ひどい(苦笑)
改めて、こんな「顔」に産んでくれた両親に感謝しなくては…
と同時に私の頭に浮かんだのが、作家・故 藤本義一氏の『男の顔は「領収書」』という一冊の本。
おそらく若い人たちはご存知ないでしょうが、藤本儀一氏といえば、作家でありながら当時一世を風靡した深夜番組「11PM」の司会者を務めたその当時の〝メディアの寵児〟。
そんな藤本氏が1984年(昭和59年)に出したのが『男の顔は「領収書」』です。
昭和59年と言えば、バブル期が到来する寸前の、社会全体がキラキラした時代…。
私自身も社会人としてスタートを切ってまだ間もない頃で、それは血気盛んで、キラキラどころか〝ギラギラ〟していた時代です。
その頃の私には、『男の顔は「領収書」』の意味がよくわかっていませんでした。
まだ「領収書」なんかもらう身分でもなかったですしね…。
30有余年経ったいま、この本のタイトルをつけた藤本義一氏の真意を思い計ることはできませんが、何となくこんな事じゃないかなあと思います。
男の「顔」は領収書とは…
“自分が成したこと(支払い)に対しての相手方からの答え、受け取り方、回答や証明というもの”であって、自分ではなく常に取引した相手からもらうものなんだということで、
「人様の評価が顔に表れるんだぞ」と、藤本氏は言いたかったんじゃないかなと…。
つまり、〝生き様そのものが「顔」に出る〟という教訓なんじゃないかと…
医学的にも、「顔」には遺伝的要素が強い部位と、環境要因に影響を受けやすい部位とがあるそうです。
また顔は、土台となる骨格の成長が成人までにほぼ完成するので、成人後は別の要因が強く影響を及ぼすそうです。
だとすると、「生き様が顔を作っていく」というのは、あながち間違いではないようです。
私は今、「人生とは正に障害物競争であり、挫折の連続。これを“苦労”や“忍耐”という簡単な一言で表すことができるように、この年になってようやくなった(まだまだかな?)訳ですが、これこそが正に〝人生の領収書〟なのではないか…」と感じています。
生き様が「顔」そのものなのであれば、いまこの瞬間も「自分の心に恥じない生き方をしなきゃ!」とあらためて思ったわけです。
“不幸を運んでくる顔”…なんて言われないようにしないとね(笑)
ちなみに、藤本氏は同時に、『女の顔は「請求書」』という本も出版されています…こちらも何とも意味深ですね(^^)
※『男の顔は「領収書」』『女の顔は「請求書」』というタイトルは、もともと、故 大宅壮一氏(ジャーナリスト・作家)が残した名言、『男の顔は「履歴書」』『女の顔は「請求書」』を引用してし発刊されたそうです。
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